[毎日新聞] 2019年7月18日 に掲載されました

mainichi190718

約3年半前に高齢ドライバーによる事故で長女を亡くした稲垣智恵美さん(49)=さいたま市=らが事故後に集め始めた署名は、4万2000筆になった。稲垣さんは「娘の死を『大変だな、かわいそうだな』で終わらせず、私たちは加害者にも被害者にもなりうると伝えたい」と語る。

新体操の演技をする聖菜さんの写真を見つめる稲垣智恵美さん=さいたま市で、2019年6月25日午後4時18分、山本有紀撮影


 2015年12月、同市内の交差点で、高校1年だった長女聖菜さん(当時15歳)がアクセルとブレーキを踏み間違えた当時80歳の男性の乗用車にはねられた。事故後、もう犠牲者を出したくないという思いから、聖菜さんの同級生とともに▽免許更新制度の改正▽車の技術開発▽高齢者のための交通機関の充実――を求める署名を自身のブログ(seina.jp)などで呼びかけている。
 稲垣さんが最も重視するのは免許更新制度だ。75歳以上の人が免許を更新する場合、認知機能検査と高齢者講習を受ける。稲垣さんは「基準を設け、運転可能な人と不可能な人をきちんと見極める対策が必要」と力を込め、運転技術をチェックする試験の義務化を訴える。

 稲垣さんは、政府が検討方針を示した急加速を防ぐ機能を持つ車のみ運転できる限定免許制度についても不十分だと感じている。「安全機能はあくまでサポートでしかなく、安全運転サポート車なら安心と思ってしまうと本末転倒だ」と話す。

https://mainichi.jp/articles/20190718/k00/00m/040/195000c