青々と茂る葉桜の中、一枝 、白く輝く桜の花

聖菜の眠るお寺の桜が、新緑に包まれる中、一枝だけ、桜の花が残っています。

2017年4月、満開の桜と雪のように散る花びらの中、お墓まいりに行った。聖菜の大好きだったお花を供え、聖菜の眠る場所に手を触れ、何時間も泣き続けていたら、あたりは、すっかり暗くなってしまい、帰ろうと車を出した。ライトの先に、薄暗い駐車場の桜の下で、W高校の女の子が、背伸びをして桜の花の写真を、撮ろうとしていた。こんな時間にお寺に、聖菜の友達かな?と思い、通りがりに停車して、車の窓を開け、こんばんわ、と声をかけた。その子は、こちらを向いて、首をかしげ、にこっと会釈して、また、桜の方を見上げた。暗くて、顔が、はっきり見えなかったけど、背格好と仕草が、入学した頃の聖菜そっくりだった。聖菜?と思いながらも車を出した。

戻って会いたい。抱きしめたい、引き換えそう。そう強く思いながらも、戻ってそばに行って聖菜じゃないと確認する事になるかもと思うと、怖くて戻れず、泣きながらお寺を出た。

今年の4月末に強い風と雨の後に新緑の中、聖菜が、写真を撮っていた桜、その一枝だけに桜の花が、残っていた。

5月10日の今日、青々と茂る桜の葉の中に、そこに僅かに、凛として桜が、咲いていた。

短い時間を全力で咲き誇り、散りゆく姿の一途な桜の命の美しさに、聖菜を重ね。

青々と茂る葉の中で白く輝く桜の花に聖菜の魂を感じる。

ずっと側にいるよ。聖菜のメッセージを感じた。