国土交通省との意見交換会 要望書と回答

2019年9月25日(火) 国土交通省との意見交換会へ行ってまいりました。

意見交換の流れがわかりやすいよう、対話形式でご紹介します。

目次

提出した要望書はこちらからご覧いただけます。(PDFファイルが開きます)

《重要》はじめに

「自動ブレーキ」という表現は、本来誤りであり、正しくは「衝突被害軽減ブレーキ」である。また、衝突被害軽減ブレーキを含むその他複数の運転支援機能を搭載する自動車を「安全運転サポート車」と呼ぶ。
(※愛称:「セーフティーサポートカー」「サポカー」)

普及の都合上、誤った「自動ブレーキ」の名称で世に出てしまっており多く使われるが、国交省では「衝突被害軽減ブレーキ」「安全運転サポート車」との表示に統一、万全ではない事への啓発にも取り組んでいる。

文中では、わかりやすさのために 誤った表現であるが広く認識される「自動ブレーキ」の表現を( )内に敢えて記す。

要望書

国土交通大臣 
赤羽 一嘉 様

関東交通犯罪遺族の会(あいの会) 
代 表    小沢 樹里


1.高齢者の運転について

1-1.前提

  ご存知の通り、高齢運転者による死亡事故の多発は今や深刻な社会問題になっています。)稲垣智恵美の長女である稲垣聖菜の命が奪われた平成27年の事故や、今年4月に松永さんの妻の松永真菜さんと一人娘の松永莉子ちゃんの命が奪われた東池袋暴走事故のように、高齢者による痛ましく凄惨な事故が相次いでいます。これら高齢者の事故は報道でもよく取り上げられ、運転免許の自主返納が増えたとの話もあります。しかし良識ある一部の自主返納者に頼るだけでは事態は改善しません。実効性のある施策として、高齢運転者限定の運転免許の導入や、車に頼らなくてもすむための、特に地方での公共交通機関の拡充を考えています。

1-2.要望事項

(1)自動運転車普及の目的は経済発展より前に交通安全であることを周知してください。

 一部地域では自動運転車の試験的導入が既に始まっていると聞いています。しかし自動運転車導入の目的はまずは事故減少のためであり、守られたはずの尊い命がこれ以上奪われない、安全な交通社会を実現するためだと考えています。しかしこうした視点が欠落し、経済効果ばかりを喧伝する報道も依然目立ちますので、自動運転車普及の目的はまず交通安全であるとのことを今一度明確にした上、その周知を進めてほしいと考えています。

《回答》 経済発展が優先されているが、国交省は安全を第一としたい所存

自動運転技術に関して、経済発展が優先されているが、国交省は安全を第一としたい所存
9割以上が人のミスによる事故、これを減らしていくための自動運転技術
自動運転車の目標「人身事故0」
目標への道中も0であってほしい
事故を減らすための道具であって、運転しなくていいわけではない

(2)自動運転等は運転者の責任回避の理由にはならないとの注意喚起をお願いします。

自動運転や安全運転サポート車、加速抑制装置については、それだけでは事故を100%防ぐことができるわけではないという事実の注意喚起があらためて必要です。これらの車や装備で事故を起こした場合も、自動運転のレベルによっては運転者には一定の責任が問われること、また必要最低限の運転能力を要することに何ら変わりはないことの理解を十分に浸透させる必要があります。技術の進歩が、特に高齢運転者の慢心や過信につながらない周知が必要だと考えます。なおこの点については,誰も責任を負わないという事態が起きないよう、法制度の整備や運用を慎重に検討すべきと考えています。

《回答》 衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)は万能ではなく、あくまで支援。完全に自動ではない。危険性について広報活動中

自動運転技術への過信をさせない事に対する取り組み
・H29.4月に自動運転技術は完全に自動ではない事を広報活動済
・1度のプレスでは一般市民には普及し切らない
・HPでも衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)の危険性の広報活動中
衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)は万能ではないし、責任は運転手にある
衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)はあくまで支援である

(3)自動運転車での事故発生時には第三者委員会による原因究明を制度化してください。

自動運転車で事故が起きた場合、その原因究明にあたっては、中立性の担保されたメンバーで構成された第三者委員会により、公正な立場で事故原因究明を行う制度が必要だと考えています。そしてその分析結果で、車自体に瑕疵があり、自動運転のレベルによっては、自動車メーカーにその分の責任を求めることで、より一層の技術開発と再発防止策を促進し、より安全な交通環境に資することが可能だと考えています。

《回答》 技術はまだ発展途上だが令和2年には自動運転車が世に出る可能性がある。自動運転レベル3、4こそが最も危険。CM等の表現にも問題がある

事故原因究明に関しては警視庁とも議論中

◆自動運転技術の進歩ばかりが優先される現状
来年(令和2年)には車両法、道交法の改正案施工、自動運転車が世に出る可能性もある
しかし技術はまだまだ発展途上

自動運転の技術の進歩ばかりが優先されている現状
(運転手の属性ことは考慮されていない)

自動運転レベル3、4(※)こそ最も危険
ハンドルもアクセルブレーキも触れていない時こそいざという時に危険(アクセルとブレーキの間違い)
レベル3、4で事故が起こった場合、技術発展にも影響する
100%止まる車は現状ない

◆メディア演出による誤解
メディアの露出の仕方も問題がある(CMの演出から誤解)
正確な知識が浸透していない
販売店にポスターの掲示
タバコの肺がん掲示くらい大きくしても良いはず
CMの方法は指導してほしい(これまでしてきた)

◆表現の問題
「運転支援」という表現に変更させた
衝突被害軽減ブレーキというのが正しい表現だが、普及の都合上「自動ブレーキ」という表現で出てしまった

◆自動運転技術における弊害
10月にトラックのレベル2が販売される
自動運転で運転手の気は緩むし、居眠りは防げない
サポート車の事故時の技術情報開示はどうなってるか?

※ 自動運転レベルの定義

レベル0 運転自動化なし 運転者が全ての運転操作を実施する
レベル1 運転支援 システムが前後・左右いずれかの車両制御に係る運転操作の一部を行う
レベル2 部分運転自動化 システムが前後・左右両方の車両制御に係る運転操作の一部を行う
レベル3 条件付運転自動化 限定された条件のもとでシステムが全ての運転タスクを実施するが、緊急時などシステムからの要請があれば運転者が操作を行う必要がある
レベル4 高度運転自動化 限定された条件のもとでシステムが全ての運転タスクを実施するが、システムからの要請などに対する応答が不要となる
レベル5 完全運転自動化 限定条件なしにシステムが全ての運転タスクを実施する

(4)自動運転車以外の安全施策に対しても経済的支援を拡充してください。

既存の車に後付けする安全機器の設置や、シニアカー、小型モビリティカーなどに対しても、補助金制度などの経済的支援の拡充を進めていただきたいと考えています。経済的支援により、自動運転車の購入までは至らない層に対しても、可能な限り安全措置を取る意識付けを図り、安全機器や限定カーの普及を促進することができるはずです。

《回答》 後付けの安全機器の安全性を検査・認定していく

後付けの安全機器は「本当に安全なのか」をしっかり検査、認定していく(認定制度の確立)

(5)マニュアル車の推奨を行ってください。

オートマティック車よりもマニュアル車の方が、運転者の自覚的動作も喚起され、事故も起こりにくいと考えますので、あらためてマニュアル車普及の推奨を行いたいと考えています。欧州諸国の実情をみても、マニュアル車の方が一般的です。しかし国内を走る車のほとんどはオートマティック車で、自動車販売店に行っても、目にする車はオートマティック車ばかりで、マニュアル車を探すこと自体が困難ですらあります。オートマティック車よりもマニュアル車が増えるようになるには時間も要すると思いますが、将来の安全な環境整備に向けて、現時点で展開できる啓発活動はあると考えています。

《回答》 精査中

操作性やペダルの配置など、様々な論点で精査中

(6)歩車分離の将来的な導入に向けた推進活動を行ってください。

国土の問題もあり、国内の道路環境はどうしても複雑で狭く、交通事故死亡者のうち歩行者の占める割合が大きいという特徴があります。この点、国土に余裕のある米国等に限らず、国土の広さについては日本と近い条件にあると思われる欧州でも全体的に歩車分離の実施を推進しているようです。歩車分離実現となると、時間のかかる大規模な施策となることは理解しています。しかし安全な交通環境実現に向け、将来に向けて始められる議論はあると考えています。

(7)地方での公共交通機関の拡充を進めてください。

高齢者が自らの運転能力の衰えを自覚し、運転免許を返納しても、生活に支障をきたさないように、地方での公共交通網拡充を進めてほしいと考えています。東京都23特別区では既に公共交通網も充実し、高齢者専用のシルバーパス制度も整備されているため、車がなくても大きな支障はありません。しかし地方になればなるほど、自ら車を運転できなければ、簡単な買い物にも行けない場所がたくさんあります。この傾向は赤字路線のバスや電車がどんどん消滅し、拡大しています。そのため地方では自らの運転能力の衰えがわかっていながら、無理にハンドルを握る高齢者を作り出しています。こうした無理を高齢者に強いないためにも、公共交通網拡充のための国土計画を策定し、その運営会社にも助成金を支給するなどして、運賃面では赤字でも企業利益は保証し、地方の公共交通網維持を可能にする制度作りを進めてほしいと考えています。また現在日本でもMaaS(Mobility as a Service)の実現に向けた取り組みを官民一体で進めていると聞いています。法整備の問題も当然多々あると思いますが、MaaS実現は高齢者に無理な運転をさせない環境とも直結しますので、法整備も含め、できるだけ早い実現に向けて進めてほしいと考えています。

回答

・地域公共交通について、生活、産業の足の確保に重要
・地域活性の法律(?)もあり(改正も)

◆バスについて
・自治体中心に鉄道バス会社設立(地域ごと)
・地方部のバス運営のコストを補助
・計画のアドバイスを国交省から
・生産年齢人口の減少から運転手の減少

◆タクシーについて
・白タク的なものの運行(デマンドタクシー)(1/3地域くらいが利用)
・バスの運行に満たないような地域でのバスがわりの運行
※デマンドタクシー=「乗り合いタクシー」

◆市町村単位で交通政策審議会(?)にて今後地方の交通環境作りの議論

◆MaaS(モビリティサービス)について
・MaaS(モビリティサービス)地域交通の使い勝手をよくするもの
・ドアToドアの環境整備、アプリにてデータ連携
・人の動きからサービス改善の議論可能(新設、廃止等)
・マイカー等を減少させられる要因になりうる
・経済支援開始済(全国地域19箇所、前橋、つくば、箱根等)

《質問》地方の一般市民(特に高齢者)へ情報はしっかり行き渡っているのか(広まっているのか)?
→自治体で広報活動行なっている、普及活動が重要
バスの乗り方やマップの作成を行なっている場所もある
結局事故は都市部で起きている
→首都圏は自治体のようなコミュニティが少なく広報活動が広がりにくい

(8)医師診断査定を必須とする高齢者限定運転免許を導入してください。

2.ドライブレコーダー義務化について

2-1.前提

あいの会では運送会社の依頼により、その社員を対象とした講演活動も行っています。タンクローリーの運転手に妻である友美の命を奪われた中村正文も、運送会社での講演活動を繰り返し行っています。これらの講演活動を通じて実感することは、加害者になる可能性への危機感を強く持ち、社員教育に力を注ぎ、交通安全を企業使命と考えている運送会社は決して少なくないということです。しかし中村の妻の命を奪った加害者の運送会社のように、「安全管理など経営の邪魔でしかない」「行政監査などその時だけごまかせればよいし、ごまかすのは簡単だ」と堂々と公言するところがあることも事実です。

こうした運送会社を少しでも減らし、職業運転手全体の交通安全意識を高めるためにも、ドライブレコーダーの設置義務化は最低限必要だと考えています。確かにドライブレコーダーの普及は急速に進んでいますが、100%実現には未だ道のり遠く、その完全普及に向けた動きも十分とはいえません。しかし現時点で進めることが可能なドライブレコーダー普及策はいくつかあると考えますので、そのための施策を以下の通り要望いたします。

2-2.要望事項

(1)ドライブレコーダーの全車両設置義務化を進めてください。

交通事故により奪われる命は今も毎年数千に上っています。昨今話題になった凄惨な事故をみた限りでも、ドライブレコーダーの記録データが事故の原因究明や再発防止に有効であることは明らかです。貴省が出している「貸切バスに対するドライブレコーダー装着義務付けについて(平成29年3月10日)」や「自動運転に係る制度整備大綱(平成30年4月17日)」も拝読し、自動運転車も含めたドライブレコーダー設置義務化について検討されていることは存じています。実際にドライブレコーダーが全車両に設置されることで、実況見分や目撃者探しにかかる警察の人的時間的効率化を図ることができ、運転者には自分の運転が記録されていると意識させることで安全運転を徹底させ、ひいては事故抑止にもつなげられるものと考えられます。また全車両ドライブレコーダー設置により、事故以外の路上犯罪の抑止や証拠のための監視カメラとしても活用できると考えています。だからこそドライブレコーダー設置義務化によって、事故のみならず犯罪全般の減少を期待しています。

(2)ドライブレコーダーの記録データの活用範囲を広げてください。

ドライブレコーダーの記録データは、事故捜査以外にももっと適用範囲を広げて、教育的活用も可能だと考えています。具体的には、運転免許の取得や更新時の講習で、事故の実際のドライブレコーダー映像を見せることで、一瞬の不注意がどれだけ重大な事態を引きおこしてしまうのかを体感させることができます。そうした疑似体感をさせることで、より危機感と実感を伴う教育効果が期待できると考えています。そうした取り組みを警察庁とも連携して推進していただけないでしょうか。

3.最後に

以上要望を述べてきました通り、今から検討可能な施策はたくさんあると考えています。

 振り返れば日本では、経済成長に伴うモータリゼーションが進んだ結果、交通事故による死傷者数の急増により、「交通戦争」という言葉が1970年代に生まれました。取り締まりの強化やシートベルトやヘルメットの着用義務化、法律の厳罰化、自動車技術、医療技術などの進歩により、1970年代当時と比較すれば、現在の死傷者の数は確かに減少したかもしれません。しかしながら、数十年の時を重ね、多くの対策を重ねても、本来は防ぎえたいたかもしれない事故で、多くの命が突然奪われたり、仮に命は助かっても重い障害を生涯負い続けたり、悲嘆と絶望に陥る家族は今日も生じ続けています。

 時代の流れと共に技術は進歩しても、まず最初に保障されるべき交通安全は追いついていないと感じています。昨今注目される高齢者事故だけをみても、もっと早期に対策をしていれば、命を奪われずに生をまっとうできた人はたくさんいただろうと考えています。

「事故」という言葉が表す通り、まだまだ多くの人は悪気はなくうっかり起こしてしまった「過失」だと認識し、裁判所も「事故=過失だから仕方ない」とでも言わんばかりに、被害者や遺族の存在を軽視し、加害者の再出発しか考えない判断が目立つと感じています。しかし「過失」は注意義務を怠ったことであって、「仕方ない」ものではありません。それは運転者の意識によって防ぐことのできるものです。運転者に安全運転を徹底しようという意識を広く持ってもらうために、私達にできることは色々とあります。

今回提案しました要望は、いずれもいますぐ実現することは困難なものであると理解しています。しかし悲惨な事故が起き、尊い命が奪われ、世論が喚起されてから、応急的に進める施策ではなく、最初から国民の命を守るための施策を恒久的に進められていくことが大切です。これまでに奪われた多くの命の犠牲を無駄にしないためにも、本要望書に対する検討をぜひお願いいたします。

4.意見を集約したあいの会会員3名の事件概要

4-1.稲垣智恵美の事故の概要

  平成27年12月23日、当時80歳の高齢者によるブレーキとアクセルの踏み間違いによる自動車の暴走により、稲垣智恵美の長女である稲垣聖菜は、高校1年生の、わずか15歳という若さでこの世を去ってしまいました。クリスマスとなる2日後の12月25日には聖菜の誕生日を迎えるはずでした。一緒に誕生日とクリスマスを祝う予定を楽しみにしていた稲垣の一家は、突然絶望のどん底に突き落とされ、ただ悔しく、悲痛な思いの中で、事故の原因について考え続けてきました。

聖菜の同世代の友人たちも、高齢運転者による死亡事故防止を訴える署名活動を始めました。令和元年7月現在のいま、42,000人を超える賛同者の方々の署名が集まっています。

4-2.松永の事故の概要

  平成31年4月19日、東池袋4丁目付近の交差点で、87歳の高齢者による自動車暴走で、妻の松永真菜(当時31歳)と娘の松永莉子(3歳)の命が奪われました。安全であるはずの青信号の横断歩道を渡っていた時に、猛スピードで突っ込んできた加害者により、何の罪もない妻と娘の人生は突然断たれることになってしまいました。連絡を受けて駆け付けた病院で対面した莉子の顔は、看護師に見ることを制止されるほど原型をとどめていませんでした。真菜も全身が傷だらけでした。

愛する二人を同時に失った絶望の中で、これ以上二人のような犠牲者を出したくない、自分のようなつらい思いを誰にもしてほしくないという思いから、二人の告別式の後に記者会見も開き、真菜と莉子が一緒に写っている写真も報道機関に公開しました。写真公開によって、ハンドルを握るすべての人に、交通事故というものの悲惨さを現実的に感じてもらい、高齢で認知能力が衰えている人も含め、危険な状態での運転を思いとどまってもらいたいと考えたからでした。公開した写真は、二人が大好きでよく行っていた南池袋公園で撮った、もう写真でしか見ることのできない笑顔にあふれた1枚でした。

しかし事故から5ヶ月が経って、人の意識改善だけでは悲惨な交通事故を減らすことは難しいという現実も痛感しました。法整備や交通環境改善、自動車の技術進歩も必要だと知りました。今回、貴省に要望書を提出したいと思った理由は、罪のない人々が突然命を奪われない社会の実現のためには、貴省の発信する安全対策、法案、各レポートなどの情報やメッセージが不可欠で、それらを通じて多くの人の理解が進んでいくと考えたからです。

4-3.中村正文の事故の概要

平成22年4月6日朝、中村正文の妻である当時34歳だった友美は当時1歳の次男を抱っこして青信号の横断歩道を歩行中、急に右折してきた大型タンクローリーに道路中央で轢過され、即死させられました。職業運転手だった加害者は「見えなかっただけだ」などと刑事公判で証言し、執行猶予5年という判決が出て、そのまま執行猶予という形式刑が確定してしまいました。後日、加害者の同僚となる運送会社社員から、加害者は事故を起こした際、運転しながら携帯電話で通話をしていたという話も聞きましたが、加害者はその事実を隠し、警察や検察もそれらの事実を捜査すらせず、刑事公判では単なる注意不足の結果として片付けられてしまいました。刑務所に収監されずに済んでしまった加害者は、事故から日にちも経たないうちから、別の運用会社に再就職し、職業運転手としての生活を再開しています。また加害者は事故当時、睡眠や休憩もほとんど取らない過労運転状態だったことがわかっています。中村が後日、運送会社社長に問い質したところ「うちのような中小企業では安全管理などしていたら経営が成り立たない」などと反論してくる始末でした。こうした運送会社と接するなかで、加害者の責任だけでなく、運送会社で蔓延している劣悪な環境も、妻を死に追いやった原因の一つではないかと考えるようになりました。

提出した要望書はこちらからご覧いただけます。(PDFファイルが開きます)